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正確さと緩さのバランス
ステッチは正確さが命ですが、細かいところを気にし過ぎるのも良くありません。一見矛盾しているように聞こえますが、クロスステッチを例にとって考えてみましょう。クロスステッチは、ご存知のようにクロスさせるように縫っていく技法で、布のマス目に従って小さなバツ印をたくさん作っていきます。
これを広範囲に重ねることで絵や模様を表現するのですが、正確な場所を刺繍しない事には、当然模様として成り立たなくなってしまいます。加えて、順番を無視してぐちゃぐちゃに縫ってしまうと、裏で厚みが変わってしまったり、緩みやほつれの原因となるかもしれません。
それゆえ正確に、正しい順序で刺繍を進めることは非常に重要です。しかし細かいところを気にしすぎて、作業がなかなか進まなかったり何度もやり直すという方もいらっしゃいます。
納得できる作品に仕上げることは重要ですが、誰も見ない裏側を気にしたり刺し始めを細かく数えたりしなくても、刺繍の作品はでき上がります。ある程度のおおらかさと、表現したい作品に必要な技術のバランスを取るようにしましょう。
糸をまっすぐに見せる
あらゆるステッチに共通するコツは、糸のねじれを無くしてしまうというものです。糸が少々ねじれていてもまったく分からないものもありますが、基本的には糸がまっすぐ通っている方が美しく見えます。
特にコーチングステッチやサテンステッチ、チェーンステッチなど、糸の見える範囲が多いステッチでは、糸がねじれてしまうとあまりきれいな仕上がりにはなりません。毎回糸をまっすぐにして次を刺すのは面倒でしょう。
しかしいずれにしても、手間のかかる刺繍で、せっかく苦労して完成させたのに糸のねじれで見た目が汚くなってしまうのは残念です。ちょっとした手間で完成度を上げていきましょう。
縫い付ける力加減
強く引っ張らないことも重要です。刺繍は、柔らかでふっくらした見た目もデザインに含まれています。既製品のように頑丈に仕上げるのも刺繍の技術の一つですが、クロスステッチやチェーンステッチなどでは、そもそも強く締めるように縫っていくことはできません。
ふんわりと縫い付けて丸みを出し、ハンドクラフトらしい温かみを出していきましょう。もちろん、普段着などに刺繍する場合では、洗濯やこすれに耐える頑丈さが必要となるため、柔らかな技法ではなく頑丈に縫い付ける刺繍が向いています。
そのように、目的別に刺繍の技法を使い分けることも、手芸として楽しんでいくうえで必要となるでしょう。